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静電容量が小さい
応答速度がきわめて速い(電気抵抗率は銅に匹敵するほど電気を通し易い。)
更に今までのサージ吸収素子にない自復作用がある。
モリブデン素子とは

原産国はアメリカ、カナダ、チリ(3国で世界の80%~90%を占めている)
特徴
・非常に硬い金属のため、加工が難しい。
・融点が2620℃と熱に強く、溶着しにくい。
・熱膨張率が低い。
・常温では耐酸性に優れている。
・電気抵抗率が低く、銅に匹敵するほど電気を通し易い。
・電気を通しやすい反面、熱により生成される酸化皮膜は高絶縁体。
モリブデン避雷器の誕生
四国の高知市に住む大森清太氏が、1984年に行ったある実験から生まれました。 大森氏はある時、モリブデンの融点は摂氏2620度だから、安心して電流を流したところ赤熱したと思ったらモリブデン線から紫白色の煙がゆらゆらと上がってまもなく白色の灰になってしまいました。 ここからが大森氏の研究者たるゆえんですが、この灰、即ち酸化モリブデン(MoO₃)が測定により高性能の半導体であることが判明します。そこで、モリブデンの表面にMoO₃の皮膜を作れば避雷器に必要な弁作用が 生まれることを発見します。 即ち、電力会社から送られてくる電流は大地に逃さないが、雷のような特殊な電流は大地に逃すという弁作用の発見です。 そして、1995年モリブデン避雷器として製品化に成功し1996年特許を取得しました。 その当時、大森氏より技術提携先㈲ベクトルに製法技術を伝授いただき、㈲日本雷研より発売するに至りました。 これまでその優秀なモリブデン避雷器の性能が皆様に認められ全国約5000カ所以上で 設置され活躍しております。雷被害が極端に多い場所に設置されると、避雷器が壊れるたびに交換していた労力が軽減されます。
点検困難な現場
長寿命ですので、山奥や積雪や高所で、行くことが困難な現場への交通・メンテナンス費用が軽減されます。
◎陸上無線中継所 ◎放送局、中継所 ◎お天気カメラ ◎監視カメラ ◎ビル管理システム ◎地震観測所 ◎気象公害観測所 ◎ゴルフ場
これまでの主なご採用先(技術提携先の日本雷研ブランド含む)
☆日本放送協会(NHK) ☆民間放送局 ☆防衛庁 ☆海上保安庁 ☆警察庁 ☆各県消防防災 ☆NTTドコモ関西 ☆NTTドコモ四国 ☆研究所 ☆病院 ☆市町村水道施設、防災無線 ☆セキュリティ会社 —約8000カ所以上—
電極素材の”モリブデン(Mo)”は、融点が高く容易に溶融しにくく、常温では耐酸性に優れた材質です。 絶縁体である”酸化モリブデン(MoO₃)”で皮膜を形成し、マイクロ単位で電極ペレットを接近させた構造です。 図のように、電子機器のラインと接地(Earth)との間にSPD(Surge Protection Device)避雷器として設置します。
放電方法
スタンガンで疑似雷を発生させると、酸化モリブデン棒の隙間で小さく光って放電しているのが見えます。
図のように放電し、雷サージをアースへ逃がすことが出来ます。

電極のギャップ間にある酸化モリブデン(MoO₃)は、極微量の電流から放電をはじめる特性(Junction Leader)を持っており、 いつ大きな雷サージが来ても速やかに通過できるように、常時準備をしている状態にあります。 応答速度が速いということは、雷サージによる電子機器への負担を軽減する能力が高いということです。
自復作用
酸化モリブデン(MoO₃)は破壊されても弁作用のようにエネルギー(electric arc)を一瞬に放出させることで、自動的に皮膜の修復をおこない再び雷サージを遮断できる状態になります。 この自復作用により避雷器のサージ吸収素子が劣化しにくくなり、酸化亜鉛式素子などに比べ長寿命化しています。 また、モリブデン避雷器は放射性物質を使わない構造の避雷器です。

モリブデン避雷器の弁作用について
モリブデン避雷器のサージ耐量(放電耐量)について
実験投入電圧値/MoLAの内部抵抗値=4,400[V]÷0.2[Ω]=約20,000[A]
モリブデン避雷器の場合、弁作用によりエネルギーを一気に放出する構造でどのようなサージ電圧であっても抵抗値は金属そのものの内部抵抗値(約0.2Ω)で放出することになります。

モリブデン避雷器の超高速応答速度について
※2019年現在、応答速度はJIS規格にて定義されておらず、弊社では記載することを中止致します。 同じ製品でもサージ波形によって速度が変わるため、お客様に混乱を招くと判断致しました。
写真①はラインに投入するサージ波形を赤ラインで表現し、1.5kV設定の開放電圧をオシロスコープで計測しました。
写真②は①の開放電圧にモリブデンサージ吸収素子(MoLA)を挿入した場合の波形を黄ラインで表現したものです。
写真③は上記①と②を倍率を合わせて比較した波形です。
約1.5kVで投入したサージ電圧は、ピーク値約0.3kVのところで放電しています。 その時間軸の位置が1マス10μs(マイクロ秒)の1/5目盛内にピーク値があり、 更にその目盛よりも速い位置で動作しているのが分かります。
写真③で見ると本来、赤ラインの面積分のエネルギーが機器にダメージを与えていたところが、黄ラインまで抑えられているということになり、このような性能で機器を保護します。




極微小静電容量の必要性について
静電容量は、電極板の面積と電極間の距離およびその電極間の誘電体によって決まります。 静電容量を大きくするためには、当然電極の面積を広くすることになります。 酸化亜鉛素子においては、サージ電流耐量を多くするために面積を広くすれば良いことになりますが、通信機の場合、信号形態がパルス信号のため静電容量が増えると影響が大きくなり、使用できません。参考値:酸化亜鉛方式避雷器の場合
20kAタイプにて約2400μF
ギャップ方式の場合、10kAタイプにて約3pF
モリブデン方式の場合、20kAタイプにて約0.4pF、40kAタイプにて約4pF
一般的には、サージ電流耐量を大きくすると、静電容量が多くなるのに対して、モリブデン式は逆に小さく増えない構造になっています。
